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ドタバタ宝塚受験生の珍道中

/ 8 min read /

玄人3

受験番号が紅麹に!?

宝塚音楽学校の合格発表の日、私は受験生の一人として緊張と期待に胸を膨らませていました。しかし、発表会場に着くなり、受験番号が書かれた紙を見て愕然としました。私の番号が「紅麹」と書かれているではありませんか!

「な、なんということでしょう…」

慌てて受付に確認すると、「小林製薬の回収対象になっているので、番号を変更しました」と言われてしまいました。確かに紅麹は健康食品として販売されていますが、それにしても受験番号を変更するなんて聞いたことがありません。

「で、でも、なぜ紅麹なんですか?」

「ご存知の通り、宝塚は華やかな舞台を目指す場所です。紅麹には血行を良くする働きがあり、華やかな舞台に馴染むと考えました」

一理ある返答ではありますが、それにしても突拍子もない対応に戸惑いを隠せません。しかし、合格発表が目前に迫る中、議論を続ける余裕もありません。仕方なく「紅麹」と呼ばれる覚悟を決め、会場に足を運びました。

合格者の珍名

受付で番号の変更を確認した後、私は緊張しながら合格者の掲示板を見上げました。そこには確かに「紅麹」の名前はなく、代わりに「蓬莱舞」さんの名前が書かれていました。

「蓬莱舞?」

私は思わず声に出してしまいました。隣の受験生が振り返ると、私は慌ててその場を離れようとしましたが、彼女に呼び止められてしまいました。

「蓬莱舞って、アナトムのことでしょ?」

「え?アナトムって何ですか?」

私は戸惑いながら尋ねました。

「アナトミー学の略称じゃないの。人体の構造を研究する学問のことよ」

彼女は得意げな表情で説明しました。しかし、私にはその意味が理解できませんでした。

「いえ、それは違うと思います。蓬莱は蓬莱島のことで、舞は踊りを表す言葉ですから、蓬莱の踊り手、つまり宝塚の女性歌劇の役者を指すのだと思います」

すると、別の受験生が割り込んできました。

「いやいや、蓬莱舞ってラドーの時計のブランド名じゃないの?」

一体何が起こっているのでしょうか。この奇妙な名前をめぐって、受験生同士が言い争いを始めてしまいました。私は混乱して、そっと離れようとしましたが、またも呼び止められてしまいました。

「ねえ、あなたはどう思う?蓬莱舞って一体何なの?」

私は正直に答えました。

「分かりません。でも、宝塚の合格者の名前なのは間違いありません」

しかし、この答えで納得した受験生はいませんでした。議論は白熱し、終わりが見えません。私は落ち着いて、次の案内を待つことにしました。

橋が落ちて遅刻しそう

合格発表会場を後にして、落胆しながら帰路につきました。しかし、途中の橋が崩落して通行止めになっていて、迂回路を探さなければなりません。

「あれ?この橋、通れないんですか?」 工事現場の人に聞くと、「昨日の大雨で橋が壊れちゃって。今は対岸に渡れません」と言われました。

仕方なく、スマホの地図アプリで迂回路を調べると、かなり遠回りになってしまいます。時間に余裕を持って会場を出たつもりが、このままでは遅刻してしまいます。

「こんな遠回りするくらいなら、橋を渡った方が早いかも」 工事現場を見渡すと、川の中に残った橋げたが見えます。それなら渡れそうな気がします。

「すみません!あの橋げたを渡っても大丈夫ですか?」 「ダメですよ、危険ですから」

そう言われましたが、遅刻する方が恐ろしい。そうと決めたら、渡り始めました。

「おい!戻れ!」 無視して進むと、橋げたは思った以上に揺れて怖い思いをしましたが、何とか対岸に渡ることができました。

「やった!間に合いそうだ」

ひと安心したのも束の間、スマホを見ると上司から呼び出し電話が入っていました。 「遅刻しているそうですね。説明願います」 慌ててできごとを説明しましたが、上司は怒り心頭でした。

「そんな無茶をするから。残業して遅刻分を補填しなさい」

結局、遅刻して怒られ、残業を言い渡されてしまいました。宝塚受験の珍道中は、こうして終わりを迎えたのです。